なぜ私は犬の資格を10個も取ったのか|ただの飼い主だった私が専門学校まで行った話
「犬の資格を10個持っています」と書くと、たいてい驚かれます。すごいですね、と言っていただくことも多いです。
あるいは…「ただの資格マニア」と思われることもあるでしょう。
でも正直に申し上げて、私は資格を集めたかったわけではありません。
目の前の愛犬にしてあげられることを増やしていったら、結果的に10個になっていた——それだけなんです。
この記事では、その10個の資格をなぜ取ったのか時系列でお話しします。
資格の一覧が見たい方には少し遠回りな記事かもしれません。
でも、このブログの記事たちがどんな経験と知識の上に書かれているのかを知っていただくには、この順番で話すのがいちばんだと思っています。
「犬の飼い主検定」問題集を解いてみた話
最初の一歩は、小さな検定の問題集を解くことから始まりました。
2016年、私はただのワンコの飼い主でした。
ふと「私、飼い主として最低限の知識はあるのかな」と思い立ち、動物愛護社会化検定 基礎級——通称「犬の飼い主検定」のテキストと問題集を買ってみたんです。
犬の社会・歴史・生態から、犬に関する法律、飼い方・しつけ・マナー、健康管理まで。4択マークシートで100問。専門資格ではなく、「良い飼い主」であるための検定です。
問題集を解いたら、1回目で98点でした。

思ったより点数が取れてホッとしました
法律の問題以外は、犬を大切に飼っていれば自然と身についている常識やマナーの問題がほとんど。だからこの点数は自慢ではありません。
ただ、このとき初めて「知識を確かめる」という経験をしたことが、のちのち大きな意味を持つことになります。
このときの私は、翌年に自分が専門学校の願書を書くことになるなんて、想像もしていませんでした。
転機——愛犬が心臓病の発作で倒れた日
2016年の春、2代目の子が心臓病の発作で倒れました。
「キューーーン!」と甲高い声を出して虚脱。意識がなくなったんです。胸や背中を叩いて刺激を与えると意識が戻りましたが、すぐに動物病院へ。

「虚脱」とは、血液循環がきちんと行われなくなったことにより倒れてしてしまったり、意識障害に陥ってしまったりすることを指します
その瞬間までは何の前兆もありませんでした。なのに、一瞬のうちに悲鳴とともに意識がなくなってしまった。
私の心臓が止まるかと思うほど、衝撃的なできごとでした。
受診の結果、すでに心拍などは正常に戻っているけれど、これからもこのような発作が起こる可能性があるため注意深く見守ることと激しい運動をしないように指導され帰宅しましたが、その後現実的な問題に直面します。
ご存じの方も多いと思いますが、心臓病があるとトリミングサロンで断られてしまうことが多くなるんです。
麻酔や興奮のリスクを考えれば、サロン側の判断は正しい。でも、シーズーは毛が伸び続ける犬種。カットをしないと、あっという間に伸び放題になってしまいます。
今までは心臓病を患ってはいるものの特に問題なく過ごしていたためトリミングもしてもらえましたが、発作で虚脱を起こしてしまったとなれば話は別。
さて、どうしようか……と悩んで、私はひとつの答えにたどり着きました。
やってもらえないなら、自分でやればいい。
ちょうどその頃、私は月150時間の残業が1年半ほど続いて心身ともに限界を迎え、15年勤めた国際物流業界を退職して自宅療養を始めたところでした。
療養しながら次の就職先を探すつもりだったのですが、この発作がすべてを変えました。
翌2017年の春、私は18歳の若い子たちに混ざって、アラフォーで2年制のペット専門学校に入学することになります。
専門学校で目標だったライセンスを取得
私が入学した専門学校はトリミング、ドッグトレーニング、動物看護をまんべんなく学べる環境でした(その中ではトリミングの割合が多めのコース)。
たくさんのワンコと年の離れた大切な仲間・友だちと過ごせた2年間は、私の人生の中でもかけがえのない大切な成長と青春を感じられた期間でした。
そして、専門学校で取得したライセンスをきっかけに、知識やスキルを増やして愛犬やたくさんのワンコに幸せな犬生を送ってもらいたいと考えるようになります。
1.トリマーB級ライセンス
愛犬のトリミングを自分でするための、当初の最大目標だった資格です。
私が通った専門学校で徹底的に叩き込まれたのは、技術よりもまず「すべては犬の幸せのために」という姿勢でした。
人間の都合(エゴ)は考慮しない。犬に痛い思いをさせない、苦しい思いをさせない、辛い思いをさせない。
この考え方はシャンプーやブローのやり方ひとつにまで貫かれていて、今もこのブログの背骨になっています。
2.ドッグトレーナーC級ライセンス
トレーナーライセンスを持っているとはいえ、正直にお話しするとC級は「初級」。世の中のドッグトレーナーさんのような専門的な指導は私にはできません。
資格は役に立っていませんが、25年の飼育経験と、今まさにドッグトレーナーさんに指導いただいているところで、愛犬たちに人間社会の中で幸せに暮らしてもらえるよう対応しています。
現場で心が折れて、それでも学び続けた話
2019年3月、2年間通った専門学校を卒業しました。そして動物病院に「看護師兼トリマー」として就職したのですが——1ヶ月も経たずに、退職しています。
理由は…仕事としての犬の扱いに心がついていけなかったから。
私はどうしても飼い主目線で犬と接してしまいます。専門学校でも犬を大切に扱うことを厳しく指導されました。
でも学生時代のインターン先や勤めた現場では、そうじゃないことばかりだった。

語弊を恐れずに言うなら、飼い主だったら絶対に愛犬にされたくない扱いをされていたんです
効率と回転を優先すれば、そうせざるを得ない事情も分かります。でも私には、「すべては犬の幸せのために」という信条と両立させることができなかったんです。
雇われて働く道を諦めた私は、「いつか自分の店や事業を持つ」ことに目標を切り替えて、もっとたくさんの知識やスキルを身につけるために、資格の勉強を続けることにしました。
ここから先は、通信・通学で取った資格たちです。
学校と並行して、卒業後も——通信・通学で取り続けた資格
専門学校に通い始めて犬について勉強を進めていくと、2年間の授業で学ぶだけでは全然足りないことに気付き始めました。
もっとワンコのことを理解したい、もっとワンコが元気で幸せに過ごせるための知識などを習得したい。強くそう思うようになったんです。
私の学びはそこから加速しました。
愛玩動物飼養管理士2級
「愛玩動物飼養管理士」は、ペットの習性や正しい飼い方、動物関係法令、動物愛護の精神を広めるための資格で、ペット関連で開業するときに必要な「動物取扱責任者」の資格要件のひとつとして国や自治体に認められています。
サロン開業を目指すと決めた私には、避けて通れない資格でした。

私が取得した2018年当時は愛玩動物飼養管理士2級を持っていれば開業できましたが、法改正で要件が厳しくなり、今は一定時間以上の実務経験がないと開業できません
約6ヶ月の通信講座+1日のスクーリング+認定試験という流れで、受講受験料は32,000円、合格後の認定登録料が8,000円(金額は私が受験した当時のものです)。
過去問が存在しない試験なので、提出課題の問題用紙に解答集とテキストの要点をびっしり書き込んで「自分だけの参考書」を作り、専門学校への通学電車の中でひたすら覚えました。
本試験は課題とよく似た問題が多かったので、この勉強法は本当におすすめです。
動物看護士
心臓病の子と暮らしていた私には、いちばん切実な資格でした。
あの日、発作の前に何かサインはなかったのか。次に何かあったとき、動物病院に着くまでの間に私にできることは何か。それを知りたくて学びました。
今は国家資格の「愛玩動物看護師」がありますが、当時は動物看護師は民間資格のみ。
学校で動物看護の2年間受けてはいましたが、学校認定の動物看護師ライセンスを受験できるのは看護コースの人たちだけだったので、通信講座の中でも内容が充実している講座を選んで受講、資格取得しました。
老犬介護士
シニア期に入った3代目の愛犬のために取りました。
ちょうど老犬介護士の資格を取ったあとに3代目の子が原因不明の脳神経の病気でだんだんと脚に力が入らず立てなくなってしまい、老犬介護士の学びをふんだんに使うこととなりました。
食事の介助、寝心地のよいベッドメイキングをはじめとした環境づくり——学んだことを、そのまま愛犬に使う日々でした。
犬の管理栄養士マスター
このブログのフードレビューや栄養学の土台になっている資格です。
原材料表示のどこを見るか、年齢や持病でどう選び方が変わるのか。「なんとなく良さそう」ではなく、根拠を持ってフードの話ができるのは、この資格のおかげです。
人間の管理栄養士もそうですが、栄養学の奥深さ・難しさは犬も同じ。栄養は健康の源ですから、これからも学び続けて知識を深めていきます。
ちなみに犬の管理栄養士「マスター」という講座があるわけではなく、「犬の管理栄養士」資格と「犬の管理栄養士アドバンス」資格の両方を取得すると「犬の管理栄養士マスター」の称号が得られる仕組みです。
ペット災害危機管理士1級
関東地方に住む私にとっても東日本大震災の揺れはとても怖いものでした。
また、その時に一緒に暮らしていた2代目の子は、地震そのものだけでなく緊急地震速報も恐れるようになってしまうほどのトラウマを抱えさせてしまうことに。
その数年後、ペット災害危機管理士という資格講座があることを知りました。
通信講座ではなく(4,3級は通信講座もあります)4級から1級まで対面で段階を経て学べること、1級講座では実際に被災地に足を運んで現地で災害を学べるのが魅力だと感じ受講、資格を取得しました。

私が1級を受講した時はコロナ禍で被災地視察が中止になってしまい、本当に残念でした…
避難所にペットは入れるのか、同行避難と同伴避難はどう違うのか、ペット災害危機管理士として行政と連携してどのように避難所運営をすればペットにも人にも優しいのか。
学べば学ぶほど、いつ起こるかわからない災害でいかに命をつなぎ、もとの生活に戻すのかを深く考え、備えが大切だと実感させられた資格です。
ペット防災については、そんなに知識がない、実感がないという飼い主さんも多いと思いますので、この分野にも力を入れて発信していきたいと思います。
ペット防災アンバサダー/ペット防災生活アドバイザー
ペット災害危機管理士資格取得からの流れで、より防災をペットの飼い主さんにわかりやすく伝えることを目的として、2つの資格を取得しました。
ペット災害危機管理士はどちらかというと専門的な立場になりますが、ペット防災アンバサダーやペット防災生活アドバイザーは飼い主さんに寄り添う身近な立場です。
3つのペット防災資格を活かして、どこよりも丁寧にわかりやすくみなさんにお伝えしていきますので、当ブログの防災発信を日ごろからの備えや知識を蓄える際の一助としていただければ嬉しいです。
愛玩動物保健衛生士
愛犬が毎日を元気に過ごせるかどうかは、病気になってからではなく、病気になりにくい環境づくりから始まります。
この資格を取得した理由は、犬と暮らす環境の衛生管理や感染症予防、消毒の正しい知識など「愛犬の健康を守るための予防」を体系的に学びたかったからです。
目に見える汚れだけでなく、目には見えない病原体や感染リスクにも目を向け、愛犬が安心して暮らせる毎日を支えることが飼い主の役目ですよね。
環境衛生や感染症予防についても、当ブログではわかりやすく解説していきます。
ただいま絶賛勉強中:ペットフーディスト
そして今、11個目になる「ペットフーディスト」を勉強中です。
ペットフード、いわゆる「ワンコのごはん」について、犬の管理栄養士とは少し違った切り口で学ぶことができるのが魅力でした。
犬猫の身体構造や病気からはじまり、ペットフードの原料などの見方に加えて手作りごはんや薬膳まで学べる講座です。
また、ペットの食や栄養に関するセミナーが多く行われることも受講の決め手でした。
資格を取って終わり、ではなくて、知識は更新し続けないと古くなります。法律も変わるし、フードの世界も変わる。
「学び続けていること」そのものが、このブログの記事の鮮度を保つ手段だと思っています。
資格は目的ではなく、道具
10個も取って分かったのは、資格そのものには大した価値がないということです(笑)。
価値があるのは、資格を取る過程で身についた「犬を見る目」と、それを目の前の子に使うこと。
たとえば私は、トリミングのブローにブロワーもボックスドライヤーも使いません。
ブロワーの音はダイソンの掃除機と同じかそれ以上で、風圧は手の甲の皮膚が波打つほど。怖がる子、震える子をたくさん見てきました。
道具の使い方を知っているからこそ、「この子には使わない」と判断できる。知識があるから、あえて使わない道具がある。
資格の使い方として、これがいちばん分かりやすい実例だと思っています。
数年以内に、自宅でトリミングサロンを開きます。心臓病や持病でサロンに断られてしまう子、シニアで長時間の預かりが不安な子が、安心して来られる場所にします。
あの日、発作で倒れたうちの子のような犬たちのために。
このブログは、その日までの——そしてその日からの——私の学びの記録でもあります。